SDGs 1/17 「貧困をなくそう」
「あらゆる場所」「あらゆる形態」での貧困とは?
今回はSDGsで取り組む目標とされている17の項目の1つである「1番 貧困をなくそう」にフォーカスを当てて説明していこうと思います。
この目標では「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」というテーマのもとに
取り組みを行っています。
テーマの中に「あらゆる場所」と「あらゆる形態」という文言がありますが、これらこそが「貧困をなくそう」という課題に対して国際社会全体で取り組んでいくことの本質を表しています。
【「あらゆる場所」「あらゆる形態」での貧困とは?】
突然ですが、貧困とはどのような状態のことを指すのでしょうか?
これにはいくつかの考え方がありますが、SDGsでは貧困を「1日1.9ドル(=208円)未満で生活している人」と定義づけています。(この状態を絶対的貧困と呼びます)
SDGsの目標1ではこの状態の人をなくすことが目標のひとつとなっており、優先度の高いものとして設定されています。
では、現在この地球上で1日1.9ドル未満で生活している人はどのくらいいるのでしょうか?
世界には約7億もの人が1日1.9ドル未満で生活しているといわれており、これは世界人口のおよそ10%に相当します 。
この7億の人の内訳は、サハラ以南のアフリカと南アジアの地域がおよそ80%を占めており、中国やインドネシアを中心とする東南アジアが10%を占めています。
こうした状況を見ると、貧困という状態は日本を含む先進国には存在しないように思えます。
確かに日本で1日1.9ドル未満で生活をしている人の数は上記の地域の国と比べて圧倒的に少ないです。
それでは先進国には貧困の問題はないのでしょうか?
答えはNoです。
先進国にも貧困は存在します。
先進国における貧困は途上国における貧困(絶対的貧困)とは考え方が異なり、その国や地域ごとによって設定される貧困のラインを下回っている状態のことを言います。
(この状態を相対的貧困と呼びます)
SDGsでは国ごとで相対的貧困の状態にある人を減らすことも取り組みの目標とされています。
例えば、日本では等価可処分所得の中央値の半分である年間127万円を下回る世帯が相対的貧困に該当するとされています。
1日あたりに換算すると3,480円となります。
【参考】
全国の平均賃料 :54,989円/月÷30=1,833円/日
1世帯当たりの食費 :77,071円/月÷30=2,569円/日
ガス代平均 :5,061円/月÷30=168円/日
電気代平均:4,235円/月÷30=141円/日
上下水道代平均:4,058円/月÷30=135円/日
合計:4,846円/日
現在日本では1日3,480円未満で生活している人はおよそ1,900万人いるといわれており、7人に1人が相対的貧困の状態にあります 。
このように、「貧困」という状態は途上国だけが抱える問題ではなく、先進国にも存在しているのです。
なぜ貧困は解決されなければいけないのか?
【なぜ貧困は解決されなければいけないのか?】
貧困によって引き起こされる問題には以下のようなものがあります。
【教育の格差】
貧困の地域にいる子どもは学校に通うことができず、早い年齢から働かなければいけないケースが多く、満足な教育を受けられないまま大人になります。
高校や大学などの高等教育を受けられないまま就労し、低い所得から抜け出すことができないという問題が先進国でも見られます。
【医療の格差】
貧困地域では充分な医療設備が整っていることが少なく、ケガや疾病に対して治療を受けられなかったり、予防などもできないため助けられる命が失われることが多くあります。
先進国においても、国によっては収入の多寡で医療サービスを受けられるかどうかが左右されることがあります。
【社会的損失】
貧困によって引き起こされる問題を放置しておくと、国全体の経済にもデメリットが
発生するとされています。
日本にある子どもの貧困を改善すると、生涯所得が2.9兆円、正規雇用が9,000人増加するとされており、子どもの貧困問題を放置しておくと将来的な所得の減少や労働人口の喪失につながります。
つまり、貧困という問題は途上国だけでなく先進国かかわる問題であり主体的に取り組む必要があるため、「貧困をなくそう」の目標はテーマの中に「あらゆる場所」と「あらゆる形態」の貧困に終止符を打つと掲げているのです。
貧困をなくすためにできること
【目標に対する取り組みの現状】
2020年の国連でのSDGs報告 によると
- 2016年時点で40億人がいかなる形の社会保障も受けられていない
- 新型コロナウイルス感染症によって世界の貧困はこの数十年で初めて増加
- 若年労働者が極度の貧困に陥る確率は、成人労働者の2倍に
- 2030年までに貧困に終止符を打つめどはたっていなかった
とあり、貧困を世界からなくすためにはまだまだ時間と取り組みが必要であると考えられています。
【貧困をなくすためにできること】
貧困問題の解決のためには、いま私たちが住む日本を含めた世界で起きている貧困について正しく理解し、できることを考える必要があります。
貧困をなくすために私たちができることの例として以下のような取り組みがあります。
- 支援団体への寄付
- ボランティア活動
- 教育支援への参加
【取り組み事例】
ココナッツを通して貧困の解決を
大阪市にてココナッツ製品の輸入販売をしている株式会社ココウェルが貧困をなくすための
取り組みを事業として行っています。
フィリピンから輸入したココナッツ製品の販売を行い、ココナッツ農家の安定収入の確保に貢献しています。
さらに売り上げの一部を使い、フィリピンへの災害支援や、日本の高校生にフィリピンの貧困の現状を知ってもらうためのスタディーツアーを行うなど、貧困問題の解決に取り組んでいます。
株式会社ココウェルのホームページと活動記事はこちら
https://www.cocowell.co.jp/company/
http://miraikigyouzukan.jp/2276