SDGsコラム9/17「産業と技術革新の基盤をつくろう」
「産業と技術革新の基盤をつくろう」
今回はSDGsの17つの目標のうち、9番に該当する「産業と技術革新の基盤をつくろう」に焦点を当てて説明していこうと思います。
この目標では「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」ということがテーマになっています。
「なぜ9番の目標が必要なのか」
はじめに、この目標のテーマについて詳しく説明していこうと思います。
まず、強靭なインフラとは何を指すのでしょうか?
強靭
―柔軟で粘り強いこと。しなやかで強いこと。
(goo辞書から引用:https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%BC%B7%E9%9D%AD/#jn-56478)
つまり、強靭なインフラとは、壊れにくいインフラという意味ではなく、どんな災害に遭ったとしても、すぐに復旧できるインフラのことを指しています。
そのうえで、誰でも長く働けるような産業を作り、技術革新につなげていくことが9番の目標のテーマとなります。
ではなぜインフラ整備が産業と技術革新に必要なのでしょうか?
その理由は2つあります。
1つ目は、電力、ガス、水道などの基礎インフラが整備されていなければ、人々の生活水準が向上せず、企業の生産性も上がらないからです。
そして2つ目は、インターネットが普及しなければ、世界から取り残され、技術革新に必要な情報が入ってこなくなってしまうからです。
「今の世界の現状」
しかし、この基盤が整っていない国や地域がたくさんあることも事実です。
世界の現状を見てみましょう。
・安定的な電力供給を受けられない人の数 約26億人
・基本的な衛生施設を利用できない人数 25億人
・水資源にアクセスできない人数 8億人
・信頼できる電話サービスが受けられない人数 10〜15億人
・インターネットにアクセスできない人数 世界人口の約6割
私たちが暮らしている日本では、インフラが整備されていることが当たり前になっていますが、世界の現状を見るとそれが当たり前ではないことがわかります。
また、インフラが整備されていないことは、経済成長においても大きな影響を与えています。
企業の生産性が損なわれている率 約40%
開発途上国の国内で加工される農産物 わずか30%(高所得国では98%)
このように数字で世界の現状を見てみると、より一層インフラ整備の重要度が分かると思います。
「日本のインフラ整備」
ここまで、包摂的で持続可能な産業化と技術革新のためにはインフラ整備が必要であり、世界ではインフラ整備が進んでいない国や地域がたくさんあると説明してきました。では、電力やガス、水道やインターネットなどの基盤が整っている日本では、もうやるべきことはないのでしょうか。
その答えはNOです。
冒頭でも説明した通り、強靭なインフラを整備することが必要とされています。特に日本は自然災害が多い国です。地震や台風など、ここまで整備してきたインフラを一瞬で壊しかねない災害が起こる可能性も高いです。実際に、東日本大震災が起きたときには、計画停電を行ったこともありました。
したがって、日本はインフラの基盤が出来上がっているからもう必要ないというわけではなく、むしろ日本こそ、災害に備えて、より強靭なインフラを整備する必要があるのです。
「インフラ整備が進む利点」
インフラ整備が進むことで、産業や技術革新につながることはとても大きな利点です。しかし、利点はそれだけではありません。この9番の目標を達成することで、SDGsの他の目標の達成にまでつながっていくのです。
例えば、水道のインフラを整備することで、6番の目標「安全な水とトイレを世界中に」につながります。また、快適なネット環境が整備され、オンライン授業やテレワークができる環境が整うことで、4番の目標「質の高い教育をみんなに」と8番の目標「働きがいも経済成長も」にもつながります。
つまり、強靭なインフラを整備することは、SDGsのすべての目標を達成するために欠かせない基盤を作ることにもつながっているのです。
SDGsの目標は次々に連鎖し、目標達成に動いていきます。
その始まりの一歩として、9番の目標「産業と技術革新の基盤をつくろう」から取り組んでみるのはいかがでしょうか。
出典:国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15775/