SDGsコラム16/17「平和と公正をすべての人に」
世界が平和であるためには
今回はSDGsの17つの目標のうち、16番に該当する「平和と公正をすべての人に」に焦点を当てて説明していこうと思います。
この目標では「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」ということがテーマになっています。
これをもっと分かりやすく説明すると、
世界中が平和であるためには、すべての人々が平等で暴力を受けることなく、紛争に苦しまずに安心で安全な生活を送る必要があり、そのための目標になっています。
SDGsのスローガンである
「誰ひとり取り残さない-Leave no one behind」を達成する目標が16番の目標とも言えます。
世界と日本の現状
では、いまの状況はいかなるものなのでしょうか。
残念ながら、現在、世界中のさまざまな地域で武力紛争が起こっており、約2憶5000万人の子どもが、武力紛争の影響を受けている国や地域で暮らしています。
その子どもたちの多くは十分に学校に通うこともできず、学習機会が失われてしまっています。
しかもそれだけではなく、紛争地域では生活すらままならない家庭も多いことから、子ども自身が生活をするため、身を守っていくために武装グループに入らなければならなかったり、自分の身を売って収入を獲得する必要があったりもしているのです。
また、世界の子どもたちの中には、出生届が出されていない、つまり法的には存在していない子どもも存在しており、その数は約1億6000万人までのぼるとされています。
公的な存在証明がないことによって、学校に入学できなかったり、病院に行けなかったり、ほかにも、人身売買で国外に連れ出されても生まれた国に戻れないといった問題も生じています。
果たしてこれは、世界のすべての人々が平和と公正を基に生きているといえるのでしょうか?
日本では到底考えられないことが、世界各地では平気で起こってしまっているのです。
ここまで世界の現状について説明してきて、世界における16番の目標の必要性をご理解いただけたと思います。
では、日本には全く関係のない目標なのでしょうか?
それは違います。
たしかに日本では、紛争が起きているわけでもないですし、教育制度も整っています。
しかし、日本国内でも公正でない場面や暴力が起きてしまっている場面が存在しています。
例として、女性に対する会社での差別もその一つですが、児童虐待も家庭内で起きている暴力の一つです。
親による虐待によって、子どもが亡くなったというニュースを見たことがありませんか?
実は児童虐待の件数は30年連続で増加しており、2020年度は約20万5000件まで上っています。
これは国としても優先して解決すべき課題として捉えており、16番の目標に関連して、「子どもに対する暴力撲滅行動計画」が策定されたりもしています。
同計画では、児童虐待に関する対策だけでなく、いじめや体罰を防止するための対策も策定されており、子どもが安心で安全な環境で生きていくための制度が整えられようとしています。
このように、日本国内でもさまざまな問題が存在しているのです。
私たちにできること
では私たちにはどんなことができるのでしょうか。
本記事では、企業でできることと個人的にできることの2つご紹介します。
企業でできることとしては、女性が産休・育休から職場復帰しやすい制度を作ったり、外国人の受け入れを行ったりすることなどが挙げられます。
これはただその制度を作ればいいというわけではなく、それを作ったうえで、性別や人種などで決めつけることない誰もが働きやすい環境を築くことが最も大切なことになっています。
その他にも、紛争地域や教育機関に対して募金や寄付をすることでも十分に貢献できます。
一方、個人的にできることとしては、政治に積極的に参加することが挙げられます。
選挙などを通じて、自分たちの民意を反映させることが重要であり、そのためには、さまざまな状況に目を向けておいて、それに対して、自分の考えを持つことが必要になってきます。
16番の目標は、日本ではあまりイメージすることが難しい目標だったかもしれません。
しかし、まずは世界各地で起こっていることを理解すること。
そして日本でも、近しい課題があることを認識し、他人事として片付けるのではなく、常に当事者意識を持ってこの目標にも取り組んでいきましょう。
出典
国際連合広報センター
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15775/
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000019801_00004.html
日本ユニセフ
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/advocacy/about_ad_abuse.html