建設の力で、誰もが楽しく生きられる社会を
株式会社松原工務店
2022年7月21日
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職人の技に触れ、建設の力を感じてもらう「関西こども建設王国」
社会で起こっていることを
正しく学べる場を「未来建設プロジェクト」の理念は、「日本人の心と歴史を継承し、次世代に誇れる建設業界の創造」。その基本方針として「魅力発信」「地域教育の再生」「安心できるまちづくり」が掲げられています。
未来建設のために、まず何から取り組んでいくべきか。代表の松原さんは特に「教育」の役割が重要だと考えます。持続可能な社会をつくっていくために、実際にどんな問題があり、何が本当に必要であるかを知っていないと何も始まらないし、誤った知識では正しい道を拓くことができません。そのことを松原さんも身をもって感じました。
「知り合いの大学教授の方が、大阪府河内郡河南町で古民家や農地を再生し、農業や食育を学ぶ機会を学生に提供されていました。そこに縁があって私たちは古民家のリノベーションに協力させていただいたのですが、多くの気づきがありました。なぜ空き家が増えているのか。余った農地はどうなるのか。過疎地域の現状や課題をはじめて目のあたりにしたわけです。それは、私たち日本人が知っておかないといけないことであるのに、日常生活でも学校でも学べない。そこにいちばんの課題があると思いました」。
さらに松原さんは、地域の課題は“人と人のつながり”や“コミュニケーション”からも感じられ、それが課題解決の重要な力になっていくと考えています。しかし、座学中心の学校教育では実社会でのコミュニケーション力を育む機会も少ないです。
そこでまず松原さんが立ち上げたのが「関西こども建設王国」です。ショベルカー乗車体験やクロス貼り体験、模型づくりなど建設の仕事体験を通じて、子どもたちや保護者に国産材のことや地域の家づくりなどを知ってもらうイベントとして、協力会社と協働し2017年から開催しています(※2020年~2021年はコロナ禍のため未実施)。多い時には約4000人もの参加者が集まり、子どもたちがふだん学校で学べないことをたくさん感じ取っています。さらに、公園遊具のペンキ塗替えなどを地元の子どもたちと大学生が一緒に取り組む「地域イベント活動」も実施。年齢を越えたコミュニケーションとともに、地域公園の役割やそれを守る人たちの想いなどに触れる機会を提供しています。
社会への影響
■多様な気づきを得られるプラットフォームを地域につくる
■ヒト・モノ・コトが集まり、地域創生のムーブメントを起こす
■廃校を活用するスキームを構築し、全国に広げていく
障がい者との交流を通して、労働問題を考えるきっかけになってほしい
今、松原さんは「関西こども建設王国」での経験を活かし、一大プロジェクトといえる計画を進めています。それが廃校を活用した「未来建設プロジェクト」のプラットフォームづくりです。廃校の数が増え続けているものの、有効な活用方法が見出せないケースがほとんど。建物の専門家である松原さんにとっては見過ごせない問題でした。そこで「建設」の力で廃校を整備し、地域教育の拠点として、さらには地域企業・団体のパートナーシップや地域コミュニティの拠点として活用していこうと、自治体に企画を提案し計画が練られています。
この計画のなかで松原さんが重視しているのが「多様性」です。
子どもたちと国産材で小屋づくりを行い、完成品をネット販売するなど、多能工や建設を体験的に学ぶ取り組みはもちろん、廃校で予定されている事業は多岐にわたります。
たとえば、障がい者の就労施設を廃校内に設け、障がい者と地域の人たちが交流できるような機会をつくる予定です。「今、障がい者の就労賃金の月額平均は1万5000円です。その事実を知ってもらい、障がい者の労働問題について少しでも考える機会をつくりたいです。そして、その問題を自分事として捉えてくださった方々と一緒に労働問題の解決に取り組み、月額賃金の向上をめざしたいです」と松原さん。
そのほかにも、以下のような事業も計画中です。
〇キャンプ体験などで地域の自然や防災を学ぶ自然教室
〇地元の農業高校との協力により、農業や畜産、食育を学ぶワークショップ
〇古民家リノベーション体験やインバウンド向けの民泊・農業体験ツアー
〇地域FMラジオの開局
〇地域のペット問題の解消をめざす、ペットのしつけやドッグトレーニング教室
など多数
まさに地域のヒト、モノ、コトが垣根を越えて集まり、自分の興味や関心に応じて学び体験できるプラットフォーム。この多様性こそ、未来を拓く可能性を生み出していくと松原さんは期待を膨らませます。
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多様な体験ができるからこそ、未来への可能性が生まれる「未来建設プロジェクト」
生きがいづくりによって
「誰ひとり取り残さない」を「廃校で計画している複数の事業には一貫性がないと言われることがあります。でも、私は同じ場所で行うことで相乗効果が必ず生まれると確信しています」。
たとえば、キャンプ体験に参加した子どもたちが障がい者の就労施設を見ることで、新たな気づきがあるかもしれません。多様であるからこそ、いろんなことを「知る」ことができます。松原さんが未来建設において当初から大切にしているのが、この「社会を知る」ことでした。そして、それを可能にする場所・空間をつくることができるのが「建設」の力です。
「もちろん収益化できないと継続できません。すべての事業でマネタイズしていくことも重視していますが、事業を続けていくために何より欠かせないのは“楽しい”こと。楽しいからこそ興味が湧きますし、それが“生きがい”に変わっていくと思います」。
今、社会では “生きがい”を失った人が増え、ひきこもりやうつ病になる人もいます。松原さんはこのプラットフォームに「生きがいを失った方々が『生きたい』と強く感じられるような場所になってほしい」と言います。学校などでは経験できないような様々な体験から「楽しい」を実感してもらい、自分の未来の可能性に気づいてほしい。それがこの事業に込める松原さんの願いであり目標でもあります。
それはSDGsの根底にある「誰ひとり取り残さない」に通じるもの。
「このプラットフォームのスキームをしっかりと形づくることができれば、全国の廃校に応用し、広めていくことができます。より多くの方が社会への気づきや生きることの楽しさを感じられることが、日本の社会を変えていく一番の原動力になると思います」。 -
VOICE
当たり前をきちんと理解し
発信していくことが、大人の役割
SDGsで掲げられていることは、特別なことではなく、私たちにとって当たり前のことが多くあります。しかし、その当たり前を知らなかったり、表に出ていなかったり、正しく伝わっていないことが、課題解決への足掛かりや壁になっているのではないでしょうか。私たちが今まさに学ぶべきことや知るべきことをしっかりと受け止め、次世代を担う若い世代に発信してくことが、私たち大人世代の使命だと思います。
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企業概要
会社名 株式会社松原工務店 事業内容 「感動・信頼・楽しむ・環境を創り続ける」をコンセプトに、お客様が実現したい幸せをカタチにできる住まいづくりを行っている。 所在地 〒587-0022 大阪府堺市美原区平尾3333 電話番号 072-320-5938 FAX番号 072-320-5952 ホームページ https://www.matubarakoumutenn.com/