“インターネット×廃車”で 経済・環境・未来をつなぐ
ユニオンエタニティ株式会社
2021年11月9日
-
「ハイシャル』のキャプチャー画像。気軽に廃車が申し込めます。
「廃車」をユーザーにとって もっと身近な存在に
従来の廃車では、廃車する自動車を専門店に持ち込む必要があり、書類手続きの代行費用・自動車の引き取り費用もかかるなど、手間と費用の負担が大きい作業でした。
一方ハイシャルでは、自動車の引き取り代行や各種手数料が無料、0円以上の買取価格を確約などのサービスを展開。全国各地で営業する約1,000社もの解体業者や中古車輸出業者、中古車販売業者とタッグを組み、IT企業としてのマーケティングスキルを活かした集客を行うことで、ユーザーと解体業者などを結ぶ架け橋となりました。廃車の手順をシンプルに「見える化」し、新たなシェアを獲得したハイシャル。その取り組みは自然とSDGsの達成につながっていきました。
自動車産業は、日本国内の経済を支える基幹産業のひとつだと言えるでしょう。
1台の自動車は、研究開発から設備投資、資材調達、製造、整備、運送などのさまざまな工程を経て完成します。
つまり自動車産業は、「働きがいも 経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任 使う責任」といったSDGsの目標達成に大きく寄与できる産業なのです。
地域社会の活性化や資源の再利用、環境保護などの課題に直面する現代社会。その中で、ビジネスとSDGsを両立するユニオンエタニティの取り組みは、ひとつのモデルケースとなるでしょう。
新たなニーズへの気づきが SDGsの取り組みに直結した
『ハイシャル』というWebサイト名は、「Shall we dance?」というフレーズが由来です。
「ダンスを踊るように、お客様と二人三脚で廃車を手がけたい」という想いから生まれたハイシャルですが、同社のSDGsに対する意識が高まったのはごく最近なのだそうです。
「正直なところ、当初はSDGsを強く意識していたわけではありませんでした。取り組みを始めたきっかけは、SDGsの考え方が世の中に普及し始めたことです」と、ユニオンエタニティ代表の安部氏は言います。
安部氏はこれまで、自動車の輸出業や一括査定などに携わり、蓄積したノウハウをもとに事業をスタートしました。起業の際にまず考えたのは、『少人数・低コストでいかにビジネスを成立させ、効率化できるか』ということ。普通の中古車事業ではすでに強力な競合他社がシェアを伸ばしており、ユーザーに目を向けてもらうことが難しい状況でした。
そこで、パソコンがあれば仕事が完結する“インターネット×廃車”の着想を得ました。
従来は、自動車を購入したディーラーや中古車店で廃車手続きを行うのがスタンダードな方法でした。しかし、不動車(故障や車検切れで公道を走れない自動車)を持ち込む手間や時間の融通、廃車手数料、書類手続きの複雑さなど、車を処分したいユーザーは高いハードルを越える必要がありました。そこで、問い合わせに応じて全国エリアの解体業者に廃車を依頼。中古車として利用できる自動車は市場で再流通させ、廃車となった車からは金属類やパーツを取り出すことで、0円以上での買取を約束する仕組みを創り上げたのです。
慣れない廃車手続きを代行してくれる手軽さ、わからないことを相談できる窓口がある安心感といったユーザーファーストの業態が評判を呼び、現在、ハイシャルは月間約6,000件もの新規問い合わせを獲得。業界内でのたしかな地位を築きました。
社会や環境、ビジネスへの影響
■車の不法投棄が減少。住み続けられるまちづくりを
■まだまだ乗れる車を適切な市場に
■中小企業の解体業者が閉業しなくてすみ、地方創生に貢献
事業を通じた好影響は、環境面にも及んでいます。
ハイシャルでは自動車リサイクル法に基づき、事業許可を有する解体業者と取引しています。そのため、無許可の解体業者が自然と淘汰され、社会問題となっている不法投棄の解決に大きく貢献しています。
さらに、持ち込まれた自動車がまだまだ中古車として活躍できるかをプロの視点で見極め、使用に耐えうるものは海外などの適切な市場へ輸出。そうでないものはスクラップし、貴重な資源として再利用しています。
ハイシャルユーザーの中には十数年来の長きにわたり、まるでわが子のように自動車を大切にされてきた方も少なくありません。そのような方々に、愛車が遠く離れた海の向こうでもう一度活躍できることを伝えると、皆さん目を輝かせて「潰されないんですね。ありがとうございます」と感謝されるのだそうです。
残念ながら廃車になったとしても、「誰も廃車を引き受けてくれないと思っていたので、本当に助かりました」とおっしゃる方が多いのだとか。解体された自動車パーツは市場に再流通するため、社会的意義の高い仕事だと言えるでしょう。
好影響はユーザーのみならず、自動車業界全体にも波及しています。
ハイシャルが取引する解体業者は、全国各地の地方に根差した中小規模の企業が主です。その多くは高度な自動車解体の技術をもちながらも、事業者の高齢化、従業員の不足などからインターネットでの集客を苦手とする一面がありました。
事実、数年前に鉄の価格が大幅に下落した際は、十分に鉄資源を確保できず、事業を畳んでしまう企業も…。ハイシャルの登場は、地方の中小解体業者が効率的に集客でき、解体業に専念できるようになりました。
さらに、これまでユーザーが廃車を依頼していたディーラーや中古車店が、本来の業務である販売に専念できるようになったこともメリットです。
地方に新たな雇用を創出し、自動車業界全体の商流を整理したハイシャル。その取り組みは、業界に携わる人々の働きがいを増進し、自動車産業がさらなる発展を遂げる土壌を整えました。
自動車のライフサイクルをトータルサポートし、 社会をもっと豊かに
コア事業である廃車事業以外にも、同社は幅広い自動車関連業を手がけています。
『車陸送.com』では、自動車の長距離移動をリーズナブルにしたいというニーズに答えています。遠方へ引っ越しをする方や親族から自動車を譲り受けた方などに好評で、年間の相談数は3万件を超えるそうです。愛車を末長く乗るためのお手伝いや、中古車を次のユーザーへと繋ぐ役割を担っています。
インターネットを活用した中古車の個人取引サイト『クリマ』では、従来の中古車市場から中間マージンをなくし、売り手と買い手が適正な価格で車を売買する事業を行っています。中古車が適正な価格で流通すれば、市場が活性化し、1台の自動車が生涯を終えるまでにより多くのユーザーの手へとわたります。多くの人に利用されるとは、つまり、それだけ自動車としての利用価値が上がるということ。同社は今後、自動車が長期間・より多くのユーザーに愛されるよう、中古車市場の活性化にも積極的に取り組んでいます。
そして、ハイシャルが廃車となった自動車の受け皿となり、自動車のライフサイクルを総合的にサポートしています。独自の着眼点から新規性の高いビジネスを成立させ、自動車業界の潮流を大きく変えたユニオンエタニティ。発端こそ違えども、自動車を通じて一人でも多くの人を幸せにすることをめざす姿勢はSDGsと深くリンクしているのです。
-
VOICE
ビジネスとSDGsを両立させるのは「初志貫徹」への意識
私が事業を開始した当初は、正直言ってSDGsを深く理解していたわけではありませんでした。しかし、自社の事業にSDGsを照らし合わせたとき、不思議とリンクするものを感じました。SDGsを通じて、企業としての理念やめざす目標が伝わりやすくなるのなら、ぜひともチャレンジしてみたいと思ったんです。だからこそ、「やるからには本気で取り組むこと」が重要です。そしてきちんとビジネスを成立させた上で、SDGsも実現する。小手先の取り組みではなく、何事も貫徹する意志を持ってほしいですね。
-
企業概要
会社名 ユニオンエタニティ株式会社 事業内容 インターネット上での廃車買取・販売を手がける「ハイシャル」をコア事業に、自動車や資源を無駄なく利用できる循環型社会の実現をめざす。 所在地 大阪市西区南堀江1-1-14 四橋中埜ビル4F 電話番号 06-6484-6518 FAX番号 ホームページ https://union-eternity.co.jp/